FXトレードは自分との心理戦という部分も大きいので、取引に関する手法だけに注目しているのは十分とは言えません。心理面に大きな影響を与える「報酬と罰」についてもFXトレードを心理面から支える一つの手法として考えてみましょう。
心理学の世界では、罰よりも報酬の方が効果的だという説が優勢なようです。ネズミをT型迷路に入れる実験が有名です。
T型迷路というのはT字型をした迷路で、T字の形状通りに、下から上へ進むと左右に分かれるようになっているものをいいます。
T型迷路の入り口から、右方向にネズミを誘導しようと考えた場合、
(1)右に報酬を用意する
(2)左に電気ショックなどの罰を用意する
どちらの方が効果的でしょうか?
実は、罰を与えてもなかなか右に行くようにはならないのです。そこで罰をもっと強いものにしていくとどうなるでしょうか?
偽のあざ
ネズミは、パニックを起こしてしまいます。右に行くどころか、前に進むことさえしなくなり、動かなくなってしまったり、迷路から飛び出そうとします。罰を使っていては、効果的に人や動物を動かすのは難しいようです。
FXトレードでも同じです。もしもFX取引で損害を出した場合に、自分を傷めつけるような行動ばかりすると、ネズミと同じようにパニック状態に陥ります。向かうべき方向はFXトレードに習熟して稼げるようになることなのに、罰によってパニック状態に陥ると、FXそのものから逃げ出してしまったり、冷静さを失ってミスを連発する事になって、ますます投資資金を減らしてしまうことでしょう。
FXトレードの失敗による罰は「損失」というカタチで既に十分な痛みとして与えられています。それ以上の罰を与える必要は無いのです。
スリラー"の闇が落ちる"
勝つといい事があるという事を、自分に教えましょう。人間は意外に単純なもので、このような刷り込みが集中力や学習意欲を高めます。
トレードでの報酬に無頓着なトレーダーが意外に多いようですが、罰と違って報酬に関しては、利益が増えただけで報酬を実感する事はできません。取引手法を気にするのと同じ程度の興味を、報酬を与える手法に対しても持っていただきたいものです。
さて、報酬と言っても与えれば良いという物ではありません。実際の成果に対して報酬が大きすぎたり小さすぎたりしては意味が無いのです。
極端な例として、トレードで10万円の利益を出した時に、10万円の報酬を与えてしまったら、これは報酬の手法としては全然ダメですね。報酬が大きすぎます。
金額的には、利益の3分の1程度を上限とすれば良いでしょう。残りの金額の半分は再投資に回し、残りは貯蓄など守る方向の資産に振り分けるという手法であれば、報酬がFXトレードを圧迫することもなく、継続的に高い意欲を維持できるでしょう。
トップガンの宛先不明
成果を報酬に振り分ける手法について、試行錯誤は必要ですが、トレードの実際の成果につながらないようであれば、報酬の量や頻度を調節してみてください。適切であれば報酬は必ずトレードに良い影響を与えます。
ところが、この報酬にあたるものをトレードに失敗しているのに与えてしまっている例がよくありますので注意してください。
「そんな事、常識じゃないか。失敗したのに報酬を与えるなんてありえない。」と言う人もいるでしょうが、実はいろんな場面で失敗に報酬を与える光景が見られます。その典型的なものが「気晴らし」です。
「気晴らし」という手法で失敗が与える強いストレスを和らげる事には、ある程度の効果があるのですが、これが心理的には報酬と同じ事になってしまうと、トレードに失敗したほうが楽に報酬を得ることが出来るという事になってしまいます。
また、気晴らし手法の方が一般的に多用される事が多く、成果が出た場合に報酬を与える手法は抑制される事が多い点にも注意してください。
罰や気晴らしよりも報酬の方がトレードの成果に繋がりやすいのですから。
0 件のコメント:
コメントを投稿